警察博物館(ポリス・ミュージアム)見学~大人も子供も楽しめる敷居の低い社会科見学( 警視庁)

以前、警視庁本部の見学の記事を書きましたが、若干、ハードルが高いため、躊躇される方もいらっしゃると思います。

「警視庁に電話して申し込むの?厳しいなぁ・・・」

そこで、今回は、ハードルを下げて、子供も楽しめる施設のご紹介!

それが、「警察博物館(ポリス・ミュージアム)」です。

東京都中央区、京橋駅と銀座一丁目駅が最寄です。

コロナ禍による緊急事態宣言で臨時休館していましたが、ようやく再開。一部体験コーナーが休止中ですが、それでも一見の価値ある施設となっています。

2022年6月のリポートです。

警視庁?警察庁?

「警察博物館」と称されますが、管理運営は警察(・・)庁ではなく、警視(・・)庁なので、展示内容も基本的には、警視庁に限られます。展示は全国警察が対象ではありません。

「そもそも警察庁と警視庁で何が違うの?」と疑問の声が聞こえてきそうですが、警視庁はあくまで東京都の警察(自治体警察)です。普通に考えれば、「東京都警察本部」と称されそうですが、明治時代からの伝統ある名称かつ、首都警察という特別な立場から「警視庁」と称されます。

一方、警察庁は警視庁を含めた全国の都道府県警察を指揮監督する国の行政官庁です。

とはいえ、警視庁は、明治以来の伝統があり、近代日本警察の歴史そのものなので、その警視庁の展示を見る知ることは、日本警察を知ることに繋がるでしょう。

大人も学べる

1階から6階まで見学可能です。

information

展示内容は、子供にも大人にも楽しめるように工夫されています。

5階・4階は、やや大人向け。

日本警察の歴史や、過去の重大事件の記録などが展示されています。

あさま山荘事件で実際に使われたジェラルミンの大楯も展示されていますが、犯人からの銃撃による弾痕が生々しい。

警視庁はその規模で全国警察最大ですので(およそ4万3000人)、何か事が起これば、全国各地に派遣されます。

なので、あさま山荘事件という長野県警の管轄にも、警視庁機動隊は大挙派遣されていたのです。

他にも、殉職された警察官らの記録など、警察活動を知る展示が多く見受けられます。

写真を撮りたいところですが、4階・5階は写真撮影禁止となっていますのでご注意を。

(ちなみに警視庁本部見学ツアーは、ほぼ全て撮影禁止なので、それに比べれば・・・)

子供も楽しめる

1階から3階は、子供が楽しめる展示・体験コーナーが多数あります。

受付のある1階ホールは、現役を退いた車両の展示があり、記念撮影にもってこい

(搭乗は感染予防で中止)

Helicopter

↑警視庁で実際に使用されていた警察ヘリコプター

人命救助や情報収集などで大活躍。

ちなみに、最近まで地域部の所属でしたが、警備部所属に変更されました。

Diorama

↑2階:模型の街で犯罪抑止

Touch panel

↑画面をタッチすると、街の中の様々な危険や警察活動の映像が流れる

もちろん、ただ「楽しい」だけではなく、楽しみながら、危険回避・防犯、捜査協力など、警察行政全般への理解を促す形になっているのは言う間でもありません。

展示で見えてくるもの

警察博物館のような広報施設を見ていいると、運営主体(組織)が何に力点を置いているか、何を見せたい(見せたくない)のか?ということも自ずと見えてきます。

警察には大きく分けて4つの部門があります(「専務」と呼称)。

  1. 刑事
  2. 交通
  3. 生活安全(生安)
  4. 警備

この4専務の内、刑事、交通、生活安全は大体均等な形で展示・アピールされてた感があります。

警備に関しては、やや少ないかな?という気も。

まあ、刑事(殺人や強盗などの強行犯捜査)は、ドラマでお馴染みの花形ですし、交通は言う間でもなく、子供たちの交通安全教育啓蒙を施すのに、これほどピッタリな施設はないわけです。

生活安全は、あまり聞きなれないかもしれませんが、薬物や子供・女性の人身の安全を担当しているので、ストーカー犯罪などでの防止に躍起です。

ところが、警備は、その専務の内、機動隊はともかく公安は秘匿性が肝要な部署ですので、まあ、アピールには向いていないところがあり、影が薄めです。

information

↑とても「公安」的なポスターが

さんざん、専務の話をしていましたが、警察博物館の目指す啓蒙のメインは、初動警察としての「地域」だと感じました。

「地域」というのは、いわゆる「交番のお巡りさん」です。

この「地域」は、4専務と並ぶ人員規模ですが、専務としては扱われません。

警察官は誰でも、まずは全員、「地域」で勤務して、それから、4専務に分かれていったり、または、地域に残るかのいずれかになります。

(ちょっと東大教養学部のようなイメージがありますね)

この「地域」は、交番もさることながら、110番通報すると、真っ先に駆けつけてくれる初動対応部門です。

ですから、一般市民にとって最も身近な警察とも言えます。

この初動をどう成功させるかが、その後の捜査、早期解決にもかかってきます。

なので、その辺りを考慮した展示・体験には力を入れているように感じました。

(110番通報体験は感染予防で休止でしたが・・・)

Police box

3階:初動の拠点、実寸大の交番もあります

Police box

中では交番の地域警察官を体験する映像が流れていて、困りごとや事件に市民が駆け込んできます。

そういえば、一時期、無人交番の問題がよく叫ばれていましたが、警視庁だと、警察官OBによる「交番相談員」がかなり一般的になり解消されつつあるようです。

交番相談員は、制服が微妙に違い、拳銃は勿論非携帯、警棒のみなので、すぐに判別できると思います。