2023年3月。
元祖「本のデパート」こと、八重洲ブックセンター本店が、3月いっぱいをもって、その44年の歴史に幕を閉じようとしています。
以前は、東京駅八重洲口には、八重洲地下街に「八重洲古書館」という古書店もあり、古本は八重洲古書館、その足で八重洲ブックセンターへ。というのが私の定番コースでしたが、その八重洲古書館も2012年に閉店してしまい、そして今回、八重洲ブックセンターも消え、八重洲口に行く機会も無くなりそうです・・・。
東京駅八重洲口に威風堂々な地下1階地上8階建てのビルが全て売場という贅沢な作り。
「書店大艦巨砲主義」の走り
今でこそ、ジュンク堂書店や丸善、コーチャンフォーなど巨大書店が当たり前ですが、この八重洲ブックセンター本店が開店した1978年当時は、他に紀伊国屋書店新宿本店があったくらいでしょう(1964年竣工)。
ご存じのように新刊書店業界は、本離れと、ネット書店と、新古書店の三重苦に晒され、いわゆる「町の本屋」さんは激減していく一方です。
そんな中、新刊書店業界の最後の防波堤のような様相を呈している巨大書店、その先駆け、最古参ともいえる八重洲ブックセンター本店の閉店は、色々と感慨深いものがあります。
八重洲ブックセンターの思い出
筆者も、学生時代から自転車で毎週のように通っていた頃を思い出します。
その頃覚えている出来事で、こんな事がありました。
ある社会科学系の専門書を探していて、店員の方に尋ねました。
生憎、その本は在庫が無かったのですが、数日後に訪れると、ちゃんと1冊、棚に並んでいるではないですか。
よくあるベストセラーなどではなく、かなり読者を限定する専門書だったのに。
さすが、八重洲ブックセンターだ。と思ったものです。
そんな「八重洲詣で」の時期、個人的に大きな出来事だったのは、東京駅の反対側に、丸善丸の内本店がオープンしたことです(2004年)。
それまで立ち読みが当たり前だったものが、なんと座り読みOK!椅子とテーブルが設置されていました。
これに対抗して、八重洲ブックセンターも、カウンターと椅子を設置しましたね。
いつも立ち読みで、足が痛くなっていたのですが、このお陰で、ずいぶん楽になりました(勿論、ちゃんと購入もしていましたよ)。
最後の来店
神保町古書店街を回遊するコースがすっかり定番になってしまい、長らくご無沙汰していたのですが、閉店のニュースを聞き、久方ぶりに訪問しました。
平日の午後、昼下がり。
店内は、以前と比べて、随分閑散としているな。と感じました。
これも時代の流れでしょうか。
中二階の喫茶店「ティファニー」も、いつの間にかドトールに・・・。
また、閉店が迫っているので、棚も隙間が目立つような・・・。
少し寂しい再訪でした。
伝説は蘇る
閉店、閉店としきりに言っておりますが、2028年に、跡地に完成する高層ビルににて、「再出発」するとのこと。
名残り惜しくはありますが、その日までしばしのお別れ。