小林源文の漫画で,米ソ冷戦を振り返る~ソ連軍日本侵攻!?~

book and helicopter

米中新冷戦が語られて久しく、米ソ冷戦を知る世代が少なくなってきました。

米ソ冷戦時代、日本は、反共の最前線で(まあ、今もそうですが)、ソ連軍の日本侵攻がまことしやかに語られ、政府も自衛隊も、ソ連軍対日侵攻を本気で(?)、想定していました。

そんな、「ソ連軍日本侵攻」を描いた漫画を2作品ご紹介。

2作とも、日本を代表する戦争劇画の巨匠小林源文御大!

さあさあ往時を偲びましょう。

flag

小林源文『バトルオーバー北海道』

さあ!これが正統派の、「ソ連軍北海道侵攻」!

当時、一番多く語られ、実際に自衛隊が備えていたシナリオを、漫画化したのが、本作。

ゴルバチョフ暗殺、クーデターをきっかけに、世界から孤立したソ連は、対ソ包囲網を打破すべく、西ヨーロッパ、そして北海道へ侵攻を開始した!

道北に上陸したソ連軍に第2師団は遅滞行動しつつ防戦、音威子府(オトイネップ)、名寄、旭川と後退を余儀なくされる。

一方、虎の子の第7師団は反撃の機会を伺う。

果たして札幌を守り通すことができるのか?

hokkaido

想定シナリオと本作が違うのは、日米安保が発動されず、米軍来援が期待できないために、自衛隊が単独でソ連軍を迎え撃つ点。

第21戦車連隊(現実は第2戦車連隊)の斉藤三尉と、統幕議長、それにソ連軍士官が主人公。

まあ、劇画調のリアルなタッチと、これまたリアル過ぎる台詞の嵐!

Tank
画像出典:陸上自衛隊ホームページ

冷戦時代に想定されたシナリオ、そのままです。

実際、ソ連には北海道への上陸能力も補給能力もなかった、ていうのが現在の研究者の大方の見方のようです。

実際、アメリカは、西ドイツに強力な陸軍を駐留させていましたが、北海道、というか日本本土に陸軍師団を置きませんでしたし・・・。

どうでもいいですが、北海道の音威子府村。

道北防衛のキーポイントになる場所、このマイナーな村を知っていると、「あ、こいつ防衛関係者か?」と思われること間違いなしです。

小林源文『レイド・オン・トーキョー』

一転、ややファンタジー(?)な作品。

日本で、左派政権が成立し、日米安保が破棄される中、宙に浮く自衛隊。

そんな中、ソ連軍は、日本政府の要請により、軍事介入、新潟に上陸。

自衛隊は超法規的に防衛出動し、孤軍奮闘する!

という、そりゃないだろ、的なシミュレーション漫画。

でも、ソ連軍が防備の高い北海道より、新潟に上陸して、関越道を使って東京に侵攻する、というシナリオ自体は、想定シナリオとしてはありました。

作中、ソ連軍特殊部隊(スペツナズ)が青函トンネルを爆破して、北海道との交通を寸断することで、北部方面隊精鋭5万は、遊兵化します

map of Hokkaido and Aomori

ソ連軍は火力にものを言わせて第12師団を壊滅させ、東京ではソ連空挺部隊に永田町を占領され、第1空挺団は一足遅く、撃退されてしまう。

孤立無援の自衛隊に勝機はあるのか?

Infantry
画像出典:陸上自衛隊ホームページ

「関越トンネルには有事用に爆薬がセットされている」なんて都市伝説がありますが、この話の元は、本作の侵攻シナリオですね。

上記の『バトルオーバー北海道』よりも更に緻密になった劇画と台詞を楽しめます。

また、本作の見どころの1つに佐藤大輔二尉。

会計課から駆り出されて、悲惨な戦闘を経験する内に、人間が変わっていきます・・・。

ちなみに、お気づきの方もいるでしょうが、佐藤二尉、あの未完架空戦記の帝王、作家の佐藤大輔御大のゲスト?出演です。

米ソ冷戦に思いをはせる

いかがだったでしょうか?

時代は変わって、中国脅威論が叫ばれ、自衛隊も西方重視にシフトしています。

北方重視、ソ連脅威論が叫ばれた時代を振りかえってみるのも有意義では?

peace