ゾイドはどこで道を誤ったか?~「ゾイドバトルストーリー」一覧で振り返る~

Chess

「ゾイド」(ZOIDS)ほどリバイバルを繰り返しているシリーズものも珍しいですね。

でも、毎回、なんか、いつの間にか終息して、また消えて行ってしまう。

なぜ、こんなことになるか考えてみると、ぶっちゃけ、ターゲット層間違えてない?

と、思えて仕方ありません。

ゾイド生命体とか、いろいろ設定盛り込んでいますが、ゾイドって、兵器ですよね。

子供抜けの設定を盛り込んじゃうからおかしくなるわけで・・・

ゾイド欲しがってるおっさん相手の方が売れると思いますよ。

ガンプラと購買層被ってるんじゃないかな。

ガンダムが40年も人気なのは、後付けで、大人向けにミリタリー色や政治色を濃くしていった結果、上から下まで幅広い年齢層を獲得できた。

(↑政治、軍事の両面からに「一年戦争」を大真面目に考察した神本)

★こちらに記事あります→機動戦士ガンダム『一年戦争全史』~虚構とリアリティへの執念

対して、ゾイドは、どっちつかずになんか迷走して、結局子供向けに走ってしまう。

今や伝説となったムック本「ゾイドバトルストーリー」。

ヘリック共和国とゼネバス帝国の間の壮大な兄弟喧嘩中央大陸戦争を描いていて、とてもいい味出していますね。

第二次世界大戦もののミリタリーなストーリー展開。というか、第二次大戦ヨーロッパ戦線のオマージュをこれでもかと詰め込んだ傑作シリーズです。

戦闘シーンなどのジオラマ写真をふんだんに掲載しています。

両軍の兵士には、タミヤのMMシリーズを使ってましたね(共和国兵が連合軍、帝国兵がドイツ軍でした)。

memorial

ちょっとその内容を振り返ってみましょう。

『ゾイドバトルストーリー』1987年刊

ZAC(ゾイド歴)2030~2038年。

共和国のゴジュラス一強に対して、帝国が、そのライバルともいうべき、アイアンコングやサーベルタイガーをロールアウトしてきます。

また、共和国の旗艦ともいうべきウルトラザウルスの開発と、その帝国軍特殊工作員による奪取事件の顛末が描かれる。

なんか、本の中の写真は迫力ありますが、まだ、ミリタリーに振り切れていない感がある第1巻でした。

zoids battle story1

『ゾイドバトルストーリー②』1987年刊

ZAC2039~2044年。

ウルトラザウルスを先頭に立てた共和国軍の快進撃で、遂に、帝国首都は陥落。共和国が中央大陸全土を手に入れますが、皇帝ゼネバスの逃亡を許してしまう・・・。

そして1年後、ゼネバスは、亡命先の暗黒大陸から新型ゾイドを装備した強力な軍団を率いて旧帝国に凱旋、失地(レコン)回復(キスタ)します。

そして、帝国は、最終兵器ともいえるデスザウラーを実戦投入し、今度は、共和国首都に迫ります!

本巻になると、俄然ミリタリー色が強まります。

本作では、共和国軍ヨハン・エリクソン大佐と、帝国軍の若き大尉トビー・ダンカンの因縁が主軸となってストーリーが展開します。

身を挺してゼネバスを脱出させた「北海の虎」ことダニー・ダンガン将軍の弟がトビーで、そのダンガン将軍のサーベルタイガーを撃破したのがエリクソン大佐のウルトラザウルスという、この因縁がなんとも・・・。

他にも、共和国の重要拠点アルメーヘンの橋を巡る帝国軍空挺部隊の話とか、完全に第二次大戦のマーケットガーデン作戦ですし!(アルヘーメンて、アルンヘムやんけ!)

もう第二次世界大戦の戦記物意識しまくりでお送りします。

zoids battle story2

『ゾイドバトルストーリー③』1988年刊

ZAC2044~2046年。

共和国領土の大半(平原地帯)を占領された共和国軍のゲリラ戦やシーレーン防衛(海戦)、共和国住民のレジスタンスが描かれます。

この辺りも、第二次大戦のドイツ軍占領下のヨーロッパ諸国でのレジスタンス活動が念頭にある感じがします。

そして、最強の敵デスザウラーに対して、あの手この手で戦いを挑みます。

また、本作ではヘリック大統領誘拐を画策する帝国軍特殊コマンドウと共和国陸軍親衛隊の女性士官の戦いも描かれます。

この誘拐作戦なんか、ジャックヒギンズの傑作『鷲は舞い降りた』のオマージュではないかと思います。

本作は、ドイツ軍コマンド部隊によるチャーチル英首相誘拐作戦の顛末を描いた戦争冒険小説です。

にしても、「ゲルマンジー上陸作戦」て、ノルマンディー上陸作戦そのまんまですね。

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『ゾイドバトルストーリー④』1988年刊

ZAC2047~2048年。

共和国は、デスザウラーを打倒すべく、ウルトラザウルスの開発者ハーバート・リー・チェスター教授を帝国軍捕虜収容所から救出し、新型ゾイド開発を推し進めます。

一方、帝国軍の技術士官、マイケル・ホバート少佐も、教授にライバル心を燃やし、新型ゾイド開発に邁進します。

本作は、対デスザウラー用決戦兵器の開発とその妨害作戦、対する欺瞞工作が描かれます。

一番のお気に入りのエピソードは、俄か将軍の二人が企てた「かまどとツバメ」作戦の顛末を描いた「すべていつわりの島」です。

zoids battle story4

以上、四作をご紹介しました。

いやいや、なかなか読ませる架空戦記に仕上がっていますね。

実は、この続刊に『新ゾイドバトルストーリー』もあるんですが、まあ、そちらは・・・(暗黒軍ってさ・・・)

zoids battle story5

架空戦記ゾイド

てなわけで、それを踏まえた上で、ゾイド再始動改革案!

ゾイドが攻めてくる!

いっそ、ゾイド星が地球に侵攻しますか。

文字通りですね。星間戦争です。

レドラーとF15イーグルの空中戦とか見たくありませんか?

F15

ゾイドで武装した地球の軍隊だー!

現代の兵器としてゾイドを使うのは?

米ソの第三次世界大戦で、両軍の兵器がゾイドとか。

ゾイドの運用方法は、近代兵器と大体対応している気がします。一例を挙げると・・・

  • カノントータス→自走砲
  • ダブルソーダ―/サイカーチス→攻撃ヘリ
  • ディバイソン/レッドホーン→重戦車
  • シ―パンツァー→水陸両用戦闘車
  • マルダー→対空自走砲

全体のゾイドの装備を見ていると、陸だと両軍拮抗していますが、空海は、やっぱりウルトラザウルスとサラマンダーがいるので、陸軍国たるソ連は帝国(赤いし)、海軍国たる米国は共和国ですかね(共和政だし)。

レッドホーンやモルガが大群で北ドイツ平原を突進する様子を見てみたくないですか?

レッドホーンやレドラーなんて真っ赤でソ連赤軍にピッタリじゃん!

モスクワの赤の広場で軍事パレードするアイアンコングやレッドホーンが見てみたい!

迎え撃つゴジュラスやゴドスなどの米陸軍機械化師団!

サラマンダーの大編隊で都市を戦略爆撃!とか見てみたいです。

ウルトラザウルスはさしずめ、米海軍の空母扱いですかね。ウルトラザウルス級「ニミッツ」とか「カールビンソン」。おそらくウルトラザウルスの設定は、かなり巨大化しないと「空母」になりませんが・・・(甲板にプテラスやレイノスをズラーと並ばせないと)。

aircraft carrier

自衛隊とかどうでしょう?

なんか小型中型ゾイドに大半占められてそう・・・。ゴドスとかガイサックとかスネーククスとかで、北海道に侵攻してくるソ連極東軍のブッラクライモスやらイグアンと交戦してそう。

で、第7師団や富士教導団にだけ虎の子のゴジュラスが配備されている感じですかね。

・・・みたいな妄想。