「保守」や「保守主義」という言葉をよく目に耳にするようになりましたね。
でも、その使い方、正しいですか?
「保守」の反対は?
保守の反対は、「革新」。
「革新」は進歩主義です。
「理性」を巡る戦い
両派の違いは、「理性」を信ずるか信じないかに尽きます。
進歩派は、理性の計算能力を信じ、理性が計算し、計画すれば、歴史は良い方向に「進歩」すると考えますが、保守派は人間の理性をそれほど信用しません。
では、何を信用するのか、それは「歴史」です。
「歴史」は過去の人間たちが試行錯誤してきた結果であり、その上にある慣習や伝統は、最善のものではないが、世界に秩序をもたらしている。
この「最善のものではないが」というのがポイントで、保守派も、現状の改善には同意しますが、それは急激なものではなく徐々に改善していくものです。
全く改善しない、というのは反動主義ですね。
なぜ柵があるのか知らない内は、柵を外してはならない。
G・K・チェスタトン
さて、過去の歴史により成り立っている世界は、実に微妙な均衡の上にあり、なおかつ、理論的ではないので、一見無意味に見える慣習や伝統の上に辛うじて、成立しています。
「神の見えざる手」ならぬ「歴史の見えざる手」。
それを理由がよくわからないからという判断(進歩主義的な合理的判断)で無理やり破棄してしまうと、ジェンガのように、簡単に全体(社会や国家)が崩壊してしまいます。
両者は、同じフランス革命にも全く正反対の評価を下します。
ちなみに、この当時のフランス議会の席の配置から左右両翼の使い方が生まれます。
保守主義の用語の混乱
つまり、保守主義は、「歴史」を信頼し、「人間」をあまり信用していない。
特に急激な改革には慎重になる。
かなり冷めた印象があります。
日本の場合、何が混乱するかというと、この「理性」を巡る問題を無視しているので、単に、国家や権威を主張すると、それを保守として括ってしまう。
悪いことに、「歴史」というのも抽象化しないで、なぜか日本近代史の政策や国家体制のことだと思ってしまっている。
いや、それ、保守じゃなくて、国家主義や権威主義という別のカテゴリーだから、と・・・。
↑さらに、保守主義について知りたい方は、この本をおすすめします。