映画「この世界の片隅で」を観終わった後、別の視点から、「戦争」を考えるために、管理人が4作品を選びました。
決して忘れてはいけない悲劇を。
「日本のいちばん長い日」監督:原田眞人 2015年
「本土決戦となれば、桜はもう咲かないな・・・」
矛は抜くよりも収めるのが難しいとはよく言ったもので、1945年8月、降伏に向けての日本政府の苦闘を描いた作品です。
1967年にも映画化され、そのリメイクです。
個々の人間は平和を願っても、国家という集団になると、それは暴走し、制御できない暴走機関車になってしまう。
ブレーキをかけようとしますが、踏み込めばブレーキ自体が壊れてしまうので、慎重にブレーキを踏んでいく様子が見て取れます。
本作のもう一つの見どころは、本木雅弘演じる昭和天皇でしょう。
オリジナル版では後景となっていた昭和天皇が主役の一人になっているのは時代の流れですかね。
立憲君主の苦悩をよく演じています。
「戦場のメリークリスマス」監督:大島渚 1983年
「メリークリスマス!ミスターローレンス!」
文句のつけようがない傑作。
坂本龍一、デビッド・ボウイ、北野武、トム・コンティという超豪華キャスト!
第二次大戦中の日本軍捕虜収容所での日本軍人と英軍捕虜の複雑な関係を描いています。敵同士でありながら、人間同士でもある故に、反目しつつも惹かれあう。
女性キャストが一人も登場せず、男だけの世界でありながら、とても魅惑的に描かれています。
「戦場の小さな天使たち」監督:ジョン・ブアマン 1987年(英)
「サンキュー!アドルフ!」
第二次大戦下のロンドンに生きる家族を、一家の男の子の視点から描いたヒューマンドラマです。
連日のドイツ軍の空襲、父親の出征・・・。
でも、子供たちは遊び続けて笑顔を絶やさない。
無邪気な子供はどこでも遊び場にしてしまいます。
その無邪気さと国家の戦争の対比に考えさせられます。
「ライフ・イズ・ビューティフル」監督:ロベルト・ベニーニ 1997年(伊)
「勝ったら、本物の戦車に乗って、おうちに帰れるんだ。」
第二次大戦下、ナチスドイツ軍が進駐してきた北イタリア。
愛妻と幼い息子の三人で幸せに暮らしていたユダヤ系イタリア人のグイドは、息子と共に強制収容所に送られてしまう。
グイドは一計を案じ、これが、ゲームであると息子に信じさせ、過酷な収容所生活を「遊び場」にして、笑顔のままで生き延びようとする。
悲劇を喜劇に変えて、息子を救おうとする父親の無償の愛に涙が止まらない傑作です。
“アウシュビッツでも子供たちは笑顔だった”という言葉がありますが、そんな子供たちを犠牲にしてきた人類の業というものを、深く考えさせる作品です。