この国で、軍隊=自衛隊を語るのは、とても大変ですね。
右から左、上も下も、大激論です。
ただ、基本的に論点が整理されていなかったり、論理が交錯していたりで、最後には、感情論です。
きちっと整理しましょう。
- 自衛隊員を批判する
- 自衛隊を批判する
- 防衛政策を批判する
これ、全部全然次元の違う話ですね。
例えば、自衛官が犯罪で逮捕されると、「ほら、自衛隊は危険だ」みたいな話が出てきますが、これは、その個人の問題です。
①から②と③に飛躍しています。
第一、予備隊員(有事に召集される普段は民間人)合わせて30万人いる組織です。
そんな事例は起こるでしょう。
但し、その犯罪が、組織的な欠陥(部隊いじめ、組織的隠蔽etc.)ならば、①から②の問題になります。
でも、「だから自衛隊はいらない。」にはなりません。
それは③の問題だから。
自衛隊の組織改革とかの話ですから、処分したり(粛清じゃありませんよ!懲戒や刑事罰とか)、改善することになるだけ。
昭和の左派が元気だった頃に、教師が「自衛官の子は、うんたらかんたら」なんて、③を議論・批判すべきなのに、①にダイレクトアタックどころか、その子供に攻撃とか・・・、誤射どころの騒ぎじゃない。
上記は③の政府や行政機構としての防衛庁(当時)を相手にすべき次元です。
第一、親がそうだったとしても、子供は関係ない。
この論法だと、犯罪者の一族郎党は皆処罰みたいな、どこの未開社会か、と。
で、ここからが本題なんですが、これ逆のパターンもありますよね?
①自衛官の活躍が素晴らしい(震災とかの災害救援)
↓
②自衛隊というのは本当に素晴らしい組織だ
↓
③自衛隊は素晴らしいからジャブジャブお金を使おう(防衛政策レベル)。
これはよくあるパターンです。
やっぱりこれも論理の飛躍がある。
自衛官が素晴らしいから、自衛隊に問題が無いわけでもなく、ましてや日本の防衛政策が上手く行っている訳ではない。
②組織は問題あるが、①現場は奮戦しているだけかもしれないし、それを③政府は見て見ぬふりで上手く利用しているだけかもしれないし・・・
自衛隊への賛否は別にしても、①~③は分けて考えないと、手痛いしっぺ返しを食らうかもしれません。
ちなみに論争を考える上で、下記の本はとても参考になります。
同書の第12章は、討論などを扱っていて、実際、防衛問題を例にして解説しています(203-205頁)。
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