ある日の昼下がり。
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴ります。我が家はマンションのオートロックなので、鳴ったのは1階のエントランスの呼び出しです。
「はい、どちら様ですか?」
「UNHCRの者ですが、お話を聞いていただきたく参りました。」
うん、この時点で、完全に思考が一瞬停止しましたね。
UNHCR?
私の知っているこの単語と、住宅地の庶民の家への来訪者が結び付きません。
「・・・国連のですか?」
「はい」
いやいやちょっと待て。国連がなぜうちに来る。
まさかエヴァンゲリオン初号機に乗れというのか。
いやまて、相手は国連でも、特務機関じゃなくて、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と名乗っているぞ。
UNHCRて、あの「小さき巨人」と評された緒方貞子女史のUNHCRだよね。
はい、110番、110番
「な、なんの御用でしょう?」
「現在の難民問題を知っていただき、寄付をお願いしたく」
これは詐欺だ!国連が、一般庶民の家を一軒一軒回って、募金なんかするわけないやろ!
町内会の会費じゃないんやぞ。
国際ロマンス詐欺じゃなくて国際機構詐欺かよ!
「ちょっとお待ちください」
インターホンを一旦切って、スマホを取り出して、意気揚々と110番にかけようとしました。
今どき、国連なんて名乗っても中学生でも騙せんぞ。
そう思ってまさに発信しようとした瞬間、
「ちょっと待って!」
隣で事情を聴いていた家族が110番を止めます。
「え?」
「それ本物だわ。」
「え??」
私のやりとりを聞きながら、家族は、隣で素早くググっていたのです。
本物?えー?!
確かにUNHCRのホームページには「寄付の戸別訪問」に関してのお知らせがありました。
リソースの使い方おかしくない?
いやー、まさか、国連が戸別訪問して寄付をお願いしているとは、世界は広いなー、感心感心。
・・・・
そんな訳あるか!
リソースは有限な訳ですよね。それをどれだけ有効に、効果的に使うかが求められている訳ですよね?
一般庶民の自宅をランダムに回って、寄付をお願いして、どれだけ効果があるのでしょうか??
その戸別訪問の人的リソースは?
そのリソースは、別の使い方に活かせませんか?
コスパ悪すぎでは?
ちょっと驚きで、言葉を失った午後のひとときでした。
追伸
その後、外を歩いていたら、UNHCRと記されたブルーのベストを着た二人組が他の家を訪問していましたが、UNHCRがいる住宅街・・・。いつから紛争地帯になったんだ?感が・・・。