あなたは、書店員にどんなイメージを持っていますか?
みんな本好きで、教養があって・・・etc.
元、書店勤務の私から言わせると、
これ、現実は結構違います。
佐野眞一の『だれが「本」を殺すのか?』に、岩波書店の編集者の話が載っています。
うちの営業の人間がある店で名刺を出したところ、
ヘエ ッ ー 、岩波(がんぱ)書店っていうんですか、かわった名前ですね、
っていわれたことがあるそうですよ
佐野眞一『だれが「本」を殺すのか?』プレジデンント社、2001年、21頁。
これ、似たような話があります。
A「蟹工船てさ、悲惨だよね」
B「いやあー、全くだよ」
C「あ、ビームですか?」
A・B「・・・・、え?!」
C「怪人が放つビームかなって?」(蟹光線!)
・・・ショッカーの怪人かよ!(蟹怪人)。
これ、書店の休憩室の実話です。(私の体験談)
多分、この話も佐野眞一の話も20年近く前ですが、おそらく状況はもっと悪化しています・・・。
もちろん、本が好きで仕方がない、活字文化を愛している書店員の方(本の職人)もたくさんいらっしゃいます。
ただ、今般の出版不況&活字離れが、書店の経営を圧迫し、本の職人たちが減少していくという事態に拍車を掛けているでしょう。
なので、「書店員だから本好きで、本に詳しい」というのは、あまりに理想化されたイメージでしかない、と言わざるをえません。
また、これには、書店は「静かで知的な文化系な職場」というイメージを持たれやすいことと関係しているかもしれません。
書店員の仕事は、ぶっちゃけ、体育会系です。
本は重いわ、立ち仕事だわ・・・。
イメージとのギャップで辞めていくアルバイトさんも、ちらほら。
まあ、そうすると、本の知識云々よりもスタミナ勝負みたいなところも・・・。
あと、必ずしも、「本に詳しい」が、イコール「本を読んでいる」に繋がらないというのも盲点かもしれません。
本のランキングや流行の作家、季節毎の売れ筋(赤本とか夏休みの課題図書etc.)を掴んでいれば、「売上」的には十分な訳で、必ずしも「読者」であることは求められていないんですね。
逆に、愛書家でなくても、優秀な書店員というのは存在する訳です。
という訳で、社会一般のイメージと書店の現実のギャップは、なかなか大きいという事、ご理解いただけたでしょうか?